こんにちは。ハルちゃんです。シリーズ第6回。本日は本題の前にちょっと漫画の話をしたいと思います。STAYHOME中では夜にお酒飲んだ後に私が小中学生の頃に流行っていた漫画やアニメを観たりする機会がありました。主題歌や作中に流れるBGM等に懐かしさを感じたりしていました😄
一方、大人になってからは漫画やアニメを観る機会がめっきり減りましたが、岸本斉史氏原作の忍者アクション漫画『NARUTO-ナルト-』はよく観ていましたね!NARUTO-ナルト-(以下NARUTO)は世界的にも有名でご存知の方も多いかと思います。ざっくり内容を説明しますと、主人公の少年ナルト君が忍の里の長を目指し、様々なバトルを繰り広げつつ、恩師や仲間の死といった多くの試練を乗り越えて大きく成長を遂げていくというストーリーになります。今後も何かのテーマと関連付けてお話できればいいなと思っています🌟
さて、作中でナルト君は修行の末、様々な能力を見につけていくことになるのですが、そのひとつに「人の悪意」を感じ取るというものがあります。この力を身につけることでほぼ完璧に潜入していた敵をすぐに見つけ出すという一コマがあります。凄いですよね!こんな力があったら詐欺なんかもすぐに見破ることができそうです!
一方、現実世界に立ち返って考えてみましょう。私達は誰かの悪意をどのように見分けているのでしょうか。おそらく、起きた出来事に対して感じて、考えた上で判断することが多いのではないかと思います。
ここから今日の本題です。その「出来事に対して感じて判断」するときの思考、考え方のパターンは心理療法である『認知療法』及び『認知行動療法』では『自動思考』と呼ばれます。この自動思考が適切なものであれば問題ないのですが、認知の歪みといわれる極端な考え方、偏った考え方をすることにより誤解や見当違い等トラブルの原因になることがあります。認知の歪みに関連する自動思考には様々なものがあり、「自身を過度に過小評価する」「ゼロか百かで物事を判断する」等この他にもいくつかのパターンが存在しますが、今回は「悪意」を感じることに特化してテーマを進め、その中から考えられる自動思考のパターンやその検証を行いつつ色々お伝えしていきたいと思います。「敵が多い」「他者の多くが敵にみえてしまう」といった場合に少しでも気持ちが楽になれるかもしれませんね。
注)認知療法、認知行動療法は心理療法ではありますが、ここではあくまで一般的に健康な人が日常の些細な悩み事解決の参考になることを目的にカウンセラーとしての立場の範囲内で記載しております。医学的な内容には触れませんので予めお含みおき下さい。
認知行動療法について
認知行動療法は、物事の感じ方考え方といった「認知」にフォーカスしてそれを改善することを目的とした『認知療法』と、行動を通して異常行動等を改善させる『行動療法』を合わせた心理療法となります。今回はその中の自動思考についてお伝えいたします。尚、認知行動療法については今後さらに詳しくテーマとしてあげていく予定でおります。
ちなみに、以前記事でお伝えした『アサーション』『フラッティング』は行動療法のひとつになります。
自動思考とは何ぞや?
冒頭で少し触れた通り、起きた出来事に対する考え、それも勝手に自動的に浮かび上がってくる考えを自動思考といいます。それが適切なものであれば何ら問題はありません。しかし、人によっては過度に捉えたり、偏って考えたりする場合があり、こうした認知の歪みは人間関係等において悪影響を及ぼしかねません。また、本人においてもその思考が苦痛であることも多く、認知の歪みを改善させることはその人の生きやすさにも繋がります。とはいえ、自動思考はその人の人生の中で醸成されていったものといえます。そう易々と修正できるものではありません。認知行動療法では自身の自動思考を分析し、修正する為のワークを通して改善を目指します。
認知の歪み 主な例
認知の歪みといわれる極端な考え方、偏った考え方のパターンは主に次のようなものがあります。
*書籍やメディアによって表記表現が異なる場合があります。
1.白か黒か思考
2.過度な一般化
3.特定の部分のみに基づく判断
4.否定的な思考
5.過度な先読み、誤った先読み
6.過大、過小評価
7.情緒的に物事を決めつける
8.~べき思考
9.レッテル貼り
10.自己関連付け
(各認知の歪みの説明はこちらの記事で書きました)
ここから先は上記の認知の歪みパターンを踏まえた上で事例を挙げてまいります。
その悪意は本当か!?
仕事や、家庭、趣味のサークル等、時々きくのが「ママ友」関係のトラブル。いずれにせよ何らかのコミュニティに属している限り、人と人とのコミュニケーションが存在します。その中から陥りがちと考えられる認知の歪みのパターンを中堅サラリーマンの日常ありそうな事例を挙げながら「その悪意は本当か」どうかをみていきましょう!
*事例はフィクションです。
事例:文句を言われた
サラリーマンで相応の立場になると、複数の人を指揮監督することってありますよね。そうなると自身の指示や舵取りに不満を感じたり反発する人が存在することも多いでしょう。そんな中で一度でもガツンと不満を言われたりした場合、その相手を敵とみなしてしまう場合が考えられます。特に相手が複数であったりすると特にその威力は大きくなるのではないでしょうか。この事例は、とある中堅サラリーマンのお話です。数名のスタッフの指揮を執りつつ自身もプレーヤーとしてこれまで組織をまわしてきました。特に人間関係のトラブルも無く、スタッフ達は自身の指示内容や考え方にも賛同してくれていました。ところがある日、ある案件で自分の考えを話したタイミングでスタッフの一人から文句を言われてしまいました。これまで順調にスタッフとの関係を築いていたつもりでいたことと、今回も当然自身の意見に賛同してくれると期待していただけに、本人はそのことにすっかりショックを受けてしまいました。
サラリーマンはこの時、次のような考えをしてしまいます。
「この人は今まではそんなことなかったのに文句を言ってきた。
だから悪意のある敵だ(←白か黒か思考・レッテル貼り)」
と。そして、それが引き金となりその後も
「この人は何を言っても文句を言う、今度も何か言われるんじゃないだろうか(←過度な先読み、誤った先読み 等)」
と考えるようになり、やがては他の仲間スタッフと2人で小声で話しているのを目撃して
「あれは自分の悪口を言っているに違いない(←過度な先読み、誤った先読み 等)」
と考えてしまうようになりました。
さらに、関係無いトラブルが発生した時などでは
「自分が悪いと思われているのではないか?(←自己関連付け)」
などと考えてしまうこともあり、常に相手が自身に悪意を向けていると捉えてしまっています。
ちなみにその後、当の相手とは月に1~2回は不満を口にされたことこそありましたが、特に大きなトラブルに発展することも無く、普通に業務の会話もでき、指示も快く受け入れてくれています。しかし、以来ずっと相手に対して不信感が拭えないのが現状となります。
以上、4つパターンが出てきました。追及すれば、他にも色々出てくるとは思いますが、このくらいにしておきましょう。ちなみに、この事例からはここからさらに不適切な方向に発展して「スタッフから不満、文句を言われた自分はダメな管理者だ(←白か黒か思考)」と考え、自信を無くし、やがてうつ等の精神疾患を発症する恐れも考えられます。
認知の歪みと対話しよう
どうでしょうか。結構極端な事例と感じる方もおられるかもしれませんが、組織で仕事をしていれば少なからずこうした問題は起きるのではないでしょうか。また、この事例の中で今回のテーマ、「悪意」の要素がはっきり出てくるのは下記の思考1及び思考3になりますが、登場する中堅サラリーマンの心理状態でいえばいずれも「悪意」を意識している内容といえます。
ここでは上記の事例で不満を言われたことにより出現した認知の歪みによる思考と対話することによって本当にその思考が現実的なものなのかどうかをみてまいります。実際に対話するのは本人になりますが、ここでは事実に基づいた検証を行い、適切な考え方に修正するプロセスをお伝えします。対話の末に認知の歪みを修正して適切な考え方ができるようになれば成功です。
但し、あくまで事例ですので実際のハラスメントといった嫌がらせであった場合は対応が異なります。
思考1:「この人は今まではそんなことなかったのに文句を言ってきた。だから悪意のある敵だ(←白か黒か思考・レッテル貼り)」
➡確かにこれまで順調に関係を築いてきたのでしょう。しかし、「自分にも立場はあるし、相手にも言い分がある。ここでは文句を言ってきたのは1度だけ。それ以外は指示も快く受け入れてくれているのだから一概に悪意があると考えるのは時期尚早では?」あるいは「あの後は全然普通に話できたよな。その感じでは敵とは思えなかったし、悪意は感じなかったな。」といったように現実に起きた事実に基づいて考察することで、相手からのストロークが悪意によるものなのかどうか、分かるのではないでしょうか。
思考2:「この人は何を言っても文句を言う、今度も何か言われるんじゃないだろうか(←過度な先読み、誤った先読み 等)」
➡その後も文句を言われたのかどうか、自身が指示を出す度に毎回文句を言ってくるのか、毎日言われるのか、といった具合に検証してみると良いでしょう。もし、そうでもなかったら、「実際に不満を言われたのは今月は1~2度だった。逆に言えばそれ以外は大丈夫だったのでは?」「月に1~2度くらいなら仕方ないかな。こっちも全部を要望通りにできるわけないんだから」と考えることができるでしょう。また、実際に記録をつけてみるのも一手です。日記でも良いと思います。自身が負担にならない程度に記録に残して、振り返ってみて「そうでもないな」と思ったら大成功です。これぞデータに基づく思考といえるでしょう。
思考3:「あれは自分の悪口を言っているに違いない(←過度な先読み、誤った先読み 等)」
➡ここでは「実際に自分の悪口が聞こえてきたのか?」と自身に問いてみることです。そこで「いっさい聞こえなかった」のであればその思考は事実に基づいているとはいえません。さすがに本人達に「今何の話してたんですか?」と聞きに行くのは本事例の背景から考えると現実的とはいえません。しかし「実際に悪口は聞こえなかった」という事実に基づいて考えれば「小声で何か話していただけ」と捉えられるようになります。
思考4:「自分が悪いと思われているのではないか?(←自己関連付け)」
➡発生したトラブルの原因及び自身との関連性を整理して「自分とは関係無かったな」「あの局面では自分も動きようが無かったな」と考えることで自己に関連付けた思考が適切とは言い切れないことがわかってきます。
果たしてそこに悪意はあったのか
4つの思考それぞれを検証してまいりました。その結果、相手に悪意があったかどうか?ということになりますが、事実に基づいて結論を出せば「悪意があると結論するには根拠が足りない」と言えるのではないでしょうか。本事例ではスタッフの意見を必要以上に悪く捉えてしまい、事実に即さない極端な考え方に陥ってしまったということが考えられます。
結局、悪意があるかどうかは「その本人にしかわからない」ことです。そもそもそれを他人が詮索して極度に神経を悩ませることはメンタル的に良いとはいえませんね。とはいえ、仕事で毎日顔を合わせてチームワークで業務を進める上では色々考えてしまうことはありますし、責任を負う身であれば尚更気になるところだと思います。これは私個人の意見ですが、『悪意があるかどうかは「その本人にしかわからない」範囲の中で客観的な事実に基づく検証をすることで不適切な思考から脱する』ことが大切なのではないかと考えられます。
ただ、話が少しそれますが、相手に発言する時の「言い回し」だったりとか「言い様」だったり等によってそれが「悪意」を想起させることになるのも事実です。今回は「言われた側」の視点でお伝えしましたが、「言う側」もそのストロークには注意が必要なのは明らかですね。
対話を通して見えるもの
いかがでしたでしょうか。本事例のようなことばかりではありませんし、世の中にはもっと複雑な人間関係がたくさん存在しますが、認知の歪みを検証し、修正することで物事の捉え方は大きく変容できることが期待できます。また、自身の思考に働きかけて事実に基づく検証をすることで、これまで「悪意」と捉えていた事柄への反応も少なからず変化できるかと思います。今回は「悪意」にクローズアップしましたが、この認知の歪みはあらゆる局面で影響します。その折々で不適切な認知を発見、改善することは人が社会でより生きやすくなる手助けになると考えられます。本当はもっと多くの事例をとりあげて解説したいところではありましたが、ボリューム感のバランスを考えてテーマを絞らせていただきました。
おまけ
今回のテーマは以上になります。
冒頭でせっかく漫画の話をしたので最後にちょっとだけ続きをしますね。NARUTOには実に多くの登場人物がおり、それぞれに「見せ場」があります。私がNARUTOが好きだった理由のひとつがそこにもあるのです。その中で特に好きだった登場人物に『ガイ先生』というキャラクターがいます(正確にはマイト・ガイといいます)。ガイ先生は幼少期はいわゆる「落ちこぼれ」という立ち位置にいて、周囲から見下されていたのですが、努力の末にとてつもない才能を開花させて作中後半では強敵相手にドラマチックな立ち回りまで見せるという超カッコイイ人物なのです。また、ご存知の方には説明不要ですが、そのテンションの高さも見ていてキブンが良かったですね!
東京アラートなるものが発動されて数日が経ちました。
都庁やレインボーブリッジが赤くなっているのをテレビの画面を通して拝見しました。先週カフェに行こうと思いつつ踏みとどまった時、「来週行こうかな」と考えていました。さて、この状況で行っていいものだろうかと思いつつ、やはり今週も自主的に控えるという選択を取ることにしました(´Д⊂グスン
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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